靴修理屋「The Garage 中目黒」 | インタビュー

The Garage 中目黒

単純に僕みたいな靴好きからすると、いろいろな靴に触れる最高の職場です

修理作業を行う、店長の柴谷さん 修理作業を行う、店長の柴谷さん

Double Sole(以下DS):本日はよろしくお願いします。まず、靴修理の職人になったきっかけは?


The Garage 中目黒さん(以下ガレージ):大学を出て、原宿にある靴屋で販売をしていました。
そこでお客様が靴を買い、後日、その靴をお店へ修理に持ってきます。その靴を提携していた靴修理屋へお願いしていました。
その時に修理工房を見学させてもらい、靴修理の方が面白そう、楽しそうだと感じた。
それがきっかけですね。


DS:靴を修理する面白さは何ですか?


ガレージ:物販、販売員などは、自分のお店で扱っている靴しか触れない。
しかし修理屋には、いろいろな靴が集まる。
裕福な人の高級靴から、とても安い1000円ぐらいの靴まで触る事ができる。
単純に僕みたいな靴好きからすると、いろいろな靴に触れる最高の職場です。
もしかしたら、エドワードグリーンやビスポークのような、靴の構造を技術的に追求する方には面白くないかも。
ただ、僕みたいにドレスシューズもワークブーツもレディースシューズも好きだし、単純に靴が好きな人には面白い職場ですね。

なるべくお客様には過度な期待をさせない。先に最悪なケースを話しておきます

シューケアアイテムも充実しています シューケアアイテムも充実しています

DS:靴の修理を始めたのはいつですか?


ガレージ:17年前になります。
そして、中目黒にThe Garageを出したのが6年前になりますね。


DS:靴の修理で困った事はありますか?


ガレージ:着色やクリーニングで困った事がありますね。
クリーニングに関して言えば、お客様からすれば「丸洗いができる」と思って持ってきます。
そして、お客様はクリーニングをすると、新品のように綺麗になると思っている方が多い。ただ、実際にはそこまで綺麗にならないケースが多いです。接客してお預かりする時にも、「これぐらいには落ちると思うのですが、完全には無理ですよ」のように説明をしても、お客様は期待してしまいます。なので、受付の際に「クリーニングを出したとしても、お客様が希望するような印象にならないかもしれない」と、ハッキリ言わないとクレームになることがあります。 
着色も同じで、新品のようにに修理されて戻ってくると思っている人が多い。そういう時でも、「直るには直るけど、大げさに言うとTAMIYAのプラカラーをべた塗りしたような感じになるかもしれない」と言わないと、お客様が思うイメージの差を埋める事ができないので、この辺りはハッキリと言っていますね。

例えば、僕が言う「赤」とお客様がイメージしている「赤」が違うかもしれませんよね。その溝を埋める為に、なるべくお客様には過度な期待をさせない。先に最悪なケースを話しておきます。そのやり取りの中でガッカリしても、実際に修理に出してみたら、自分が思っていた以上に綺麗に仕上がったら嬉しいはず。
先に悪い事を言ってしまう。その上で、お客様に判断をお願いしていますね。

たくさんのお客様に来店してもらう為に、「何でも出来ます!」と嘘はつかない

お店にはウェルトとソールを縫い付けるミシン機など、珍しい機材が豊富 お店にはウェルトとソールを縫い付けるミシン機など、珍しい機材が豊富

DS:柴谷さんのお店「The Garage」の強みは?


ガレージ:修理の機材が豊富に揃っている。
例えば、修理用のミシンを実際に使ってみないと分からない事がある。そういう機材の特性を分かっているのは強みですね。ソールなどの具材も一部、イギリスから直接取り寄せたりもしています。
技術的には下手ではないと思うが、最高に上手なわけではない。でも、そこは理解している。たくさんのお客様に来店してもらう為に、「何でも出来ます!」と嘘はつかないようにしていますね。


DS:最近、靴の磨き方で悩んでいるという声を多く聞きます。The garageでは、靴を磨く方法も教えてもらえますか?


ガレージ:うちに来るお客様は、磨きは自分でやってはいるが、イマイチ分からない、自信が無いという人が多い。
動画サイトや雑誌で靴の磨き方が情報として載ってはいるが、正直あれを見ても分からないですよね。例えば、雑誌の中で「そこはあまり力をいれなくていい」と書いてあったとしても、具体的にどれだけの力なのか分からない。人によって、「あまり力をいれない」の感覚が違いますよね。なので、お客様が靴磨きで困っている場合は、店頭で実際に僕の磨き方を見てもらったりもしていますよ。


DS:お店の情報は、どのようにして発信していますか?


ガレージ:ホームページ、ブログ、Facebookページ、Twitterをやっています。
ブログは毎日更新しているので、ぜひ覗いて欲しいですね。

僕の今の生活は、お客様から頂いたお金が給料になり、成り立っていることを自覚しています。このスタンスで考えるオーナーがいるお店は、お客様に対して邪険な対応ができない。 そういう思いで、毎日働いています

お店のスタッフの方と一緒に お店のスタッフの方と一緒に

DS:最後に、ダブルソールの読者にひと言あれば、お願いします


ガレージ:うちは立地条件が良くないです。路面ではなく、一本奥にお店があるために入りづらいと感じてしまうかもしれません。
お客様は大事な靴を職人に預ける前に、どんなお店なのかを知りたいはず。覗き見をしたいはず。
路面だと覗き見が出来るが、うちのお店は構造上覗き見ができない。これはお客様の立場からすると、初めて入るのに勇気がいるはずです。
そのようなハンデがある分、お客様に対する感謝の思いは、普通のお店と違うと思います。
悪条件の中で、どうしたらお客様が足を運んでくれるかを日々考えている。

僕が会社という組織の中で勤めていた時は、変な話ボーっとしていても給料は入ってきました。
しかし、我々のような創業者というのは、それがない。何もしなければ、お金がもらえない。なので僕の今の生活は、お客様から頂いたお金が給料になり、成り立っていることを自覚しています。このスタンスで考えるオーナーがいるお店は、お客様に対して邪険な対応ができない。
そういう思いで、毎日働いています。

そして、人の物を預かる仕事なので、そこの責任感は強い。ですので、お客様も大事な靴を安心して預けるのであれば、個人で頑張っているお店の方がいいと思いますね。
そのような思いで「The garage」をやっていますので、靴の悩みがありましたら、ぜひご来店ください!

山手通りから見える看板が目印。奥に見えるのはOnigiri Cafe 山手通りから見える看板が目印。奥に見えるのはOnigiri Cafe
看板を右に曲がり、左奥にあるのがお店 看板を右に曲がり、左奥にあるのがお店
The Garageの外観 The Garageの外観
メモ

<価格>*参考価格になります。
詳細はお店に確認をお願いします

つま先 レザー ¥2,500~
つま先 ラバー ¥2,000~
ヒール ラバー ¥3,000〜
ハーフソール ラバー ¥3,000~
オールソール ラバー ¥10,000〜
オールソール レザーソール(ヒドゥンチャンネル) ¥18,000〜
オールソール レザーソール(オープンチャンネル) ¥15,000〜

Double Soleスタッフの感想

中目黒駅から徒歩4分ほどにある「The Garage」。
店主の柴谷さんがインタビュー内で話している通り、路面から一本奥に入ってしまうので、初めて訪れる人は注意してください。Onigiri Cafe手前にある看板が目印です!
お店の雰囲気は、白の壁一面で天井が高いので開放感があります。また、ちょっとした植物や靴のディスプレイも綺麗にされているので、女性の方も安心できる空間だと感じました。
お店の方針として、「靴の修理結果に対して過度の期待をもたせない。最悪なケースを事前に伝えておく」と、しっかりとしたスタンスがあり、これによってお客様との完成イメージの溝を埋めているのが印象的でしたね。
もしかしたら、初めて行く方は入りづらいと思うかもしれませんが、実際に入ると明るい雰囲気なので、中目黒に行く機会が多い方は、おススメです。